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2019.11.05 04:11

「偽りのフィアンセ~運命と怒り~」DVDリリース記念トークショー レポート

10月30日に開催されたドラマ「偽りのフィアンセ~運命と怒り~」第1話試写会。上映後には、コン・ユ&チョン・ユミのタッグで映画化された人気小説「82年生まれ、キム・ジヨン」の翻訳者の斎藤真理子さんと、先日KOARIでもインタビューさせていただいた韓国エンタメナビゲーターの田代親世さんによる『もっと知りたい!韓国ドラマ×韓国文学』トークショーが行われました。今回はそのレポートをお届けします。

 
田代:まずは「偽りのフィアンセ~運命と怒り~」をご覧になった感想はいかがでしたか?
 
斎藤:少し昔のドラマを思い出すようなわかりやすいベタな韓国ドラマの人間関係の構図でしたよね。
 
田代:最近のドラマって洗練されすぎてしまって、医療ものや捜査ものだったり、ラブコメの中に殺人事件が絡んでいたり、ファンタジーだったりとか進化がすごいんですが、そんななか今作は愛憎入り乱れ、財閥と貧乏人、いい人悪い人の人間関係が渦巻いていくみたいなドラマなので懐かしさすら覚えましたし、私はこういうのが好きだったなと再確認できるようなドラマでした。
 
田代:チュ・サンウクさんとイ・ミンジョンさんが4年ぶりの共演でした。前回はラブコメでしたが今回はバチバチの緊張感がありますね。ストーリー的にはイ・ミンジョンさんがチュ・サンウクさんへ偽りの愛を仕掛けていくんですが、このドラマを観て思ったのが男性から何かを聞かれても答えなくていいんだ、潤んだ目で見つめ返すだけでいいんだなと(笑)
 
斎藤:それは古典的にもそうで『風と共に去りぬ』にも出てきました。スカーレット・オハラが16歳とかですでに取得していて、黙って見上げて目を潤ませるといいと書いてありました(笑)
 
田代:チュ・サンウクさんがいい役でしたよね。最初は少し嫌な感じで出てくるんですが、だんだん良くなってくるという。そしてそんな二人を操るのがイ・ギウさん。イ・ギウさんも出演作によっていい役も悪い役もやられていますが、今作はどっちなのか楽しく観ていただけるかなと思います。そしてソ・イヒョンさんも最近はいい役が多かったんですが今回はすごくわかりやすい悪役キャラクターですね。
 
斎藤:彼女をはじめこのドラマはセリフの発音がはっきりしているので、韓国語の学習にもぴったりだと思います。書き留めておきたいような印象に残るセリフもたくさん出てきます。
 
田代:そして日本のファンの皆さんにはおなじみのSUPERNOVAユナクさんも出ています。最初はやんちゃな弟的な感じで出てきますが、その後成長が見られるキャラクターです。SUPERNOVAではリーダーなのでクールで大人っぽい感じかと思っていたんですが、ドラマでは本当に弟キャラでそんな立ち位置が新鮮でしたね。

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(左)田代親世、(右)斎藤真理子

 

田代:続いては韓国ドラマや韓国文学の魅力についてお話していきたいと思います。斎藤さんは小説「カステラ」で第一回日本翻訳大賞を受賞されて、これまで15冊の翻訳書を出版されています。今やK-POPの流れから韓国エンタメなど様々なものがありますが、K文学と称されて本屋さんでも韓国の小説がたくさん並ぶようになりましたよね。斎藤さんから見て韓国ドラマと韓国小説の共通点や相違点などはありますか?
 
斎藤:共通なのは濃密な人間関係ですかね。日本で生まれ育った私たちからするとあまり見覚えがないような、人と人の距離が近くて、それによって起こるドラマの面白さというのがあると思います。以前韓流ドラマがなぜ面白いかという説明を聞いた時に、韓国の社会は変化が急激だったので世代間での経験がとても違うんですよね。なのでひとつの家に子供、親、祖父母と3世代で暮らしていたら、それぞれの経験の差から衝突がでてきますよね。さらに格差恋愛ともなったら家同士の差も増幅するのでドラマがつまらないわけがないという話がありました。小説はドラマほどではないですが、やはり日本の読者が読むとアクティブな感じがするというか、そういう部分が共通だと思います。
 
田代:あと、すごく正しいことを言うっていうのがありますよね。
 
斎藤:元々文を書いたり何かを表現する人たちは世の中の規範になるようなことをしなければならないというような理念を大事にする風潮が韓国にはあると思います。弱者に当たる人たちが自分の思いを堂々と言うシーンが必ず出てくるので、そういうドラマを観ているわけですから、弱者の正論をよく耳にしているんですよね。日本はもう少しぼかした表現をすることが多いので、いざ自分の意見を言いたいと思ったときにモデルがいないというか。小説でも主人公のセリフというのを超えた正論を言う場面が出てきたりして、話が飛躍しているのを感じることがありますが、著者が伝えたいことなんだと思います。
 
田代:以前ユン・ソクホ監督も、ドラマというのは現実とは違うかもしれないけどあるべき姿を映像にとどめてメッセージとして発信する役割があると思うとおっしゃっていて、「冬のソナタ」も古き良きというか、他者を思い図って遠慮してという日本にもあるような行動規範が描かれていたので、日本でも人気が出たのではないかという気がしていました。

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田代:あとこの機会に斎藤さんにお聞きしたかったのが、翻訳するにあたって韓国語と日本語でニュアンスが違う言葉がすごく多いと思うんですが、難しいところなどあったりしますか?
 
斎藤:呼称が難しいです。相手を呼ぶ時にヒョン、オッパ、ヌナと呼ぶことで性別や年齢の関係がわかるんですが、あのニュアンスを日本語にするのが難しいですね。単純に兄さん、姉さんにもできないし、名前とかあなたにしてしまうのも違うんです。女性が恋人や夫などをオッパと呼ぶと男性は嬉しいらしいと聞きますが、そこには守る、守られるの微妙な権力関係が潜んでいたりします。それを日本語で○○さんと訳すとそのニュアンスが落ちてしまうんですよね。
 
田代:また韓国ドラマは長ゼリフが多かったりもするので、すごく主張をする文化なんだなというのも感じます。
 
斎藤:言葉で説明ができないといけない、起承転結をしっかり文にして伝えるというところはあると思います。韓国で100万部売れた「82年生まれキム・ジヨン」ですが、日本でも14万部ほど売れています。海外の小説がそこまで売れるのはめずらしいことなんです。これは1982年に生まれたキム・ジヨンという女性が幼い頃から就職、結婚、出産その都度ぶつかる女としての壁を克明に描いた作品で、キム・ジヨンの経験に自分を重ね合わせて読んでいくことができます。すごく淡々とした文章で書かれているんですが、仕事の壁にぶつかったときにすごく正論を述べていたりして、ここは作家が本当に言いたかった部分ではないかと思います。こういう部分は日本の小説にはあまりないすね。
 
斎藤:また最近は読みやすい作品も増えていて、「フィフティー・ピープル」という小説は、タイトルそのままある地方都市の病院に関わる50人それぞれのショートストーリーが連なっています。ひとつひとつが短いので読みやすいですし、話が繋がっていたりするので面白いです。また今の韓国人がどんなことに悩んだり楽しんだりしているのかがわかるので楽しんでいただけると思います。
 
田代:ドラマでは財閥や年下男子が描かれることが多いですが、小説に出てくる男性像はどうですか?
 
斎藤:ダメ男というのも多いと思います。韓国は兵役があるので男は強くなくてはいけなくて国や女・子供を守るという大きな構図があって変えようがなかったんですが、時代の流れと共に風潮が変わってきていて、決して強くもなくてお金も稼げないけど優しい人、みたいな人物像がでてきていると思います。以前はダメ男といえば救いようのないキャラでしたが、今では一緒に生きていける、強さだけが取り柄ではない男性像など多様な形で描かれているのではないかと思います。
 
田代:そんなわけで韓国ドラマしかまだ観たことがない方は韓国の小説も興味が出たのではないでしょうか。また小説しか読んだことがなくてドラマは自分には合わないと思ってる方がいたら、ドラマも面白いので韓国エンタメを楽しんでいただければと思います。

 

「偽りのフィアンセ~運命と怒り~」
DVD-SET1&レンタル DVD Vol.1~5 11月2日(土)リリース
DVD-SET2&レンタル DVD Vol.6~10 12月3日(火)リリース
レンタル DVD Vol.11~15 2020年 1月7日(火)リリース
レンタル DVD Vol.16~20 2020年 2月4日(火)リリース
各19,000+税 発売・販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント

公式サイト:http://kandera.jp/sp/fiancee/
U-NEXT にて独占先行配信開始! https://bit.ly/2ZjqhttpsbVW

偽りのフィアンセ
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